現在、日本各地で子どもの育ちや学びへの期待、持続可能な社会の担い手づくりへの期待、移住促進への訴求力などを背景にして、自然保育の取組みが広がっています。今大会の開催地である横浜周辺においても、認可園や認可外保育施設、自主グループ、環境教育団体や青少年教育施設などの多様な主体により、都会の側面を持ちながらも、その近郊には里山や公園、海、農地などの自然が豊かに残っているという地域性を活かした自然保育や子ども対象の自然体験活動が実践されています。
実行委員会では、大会テーマを「自然、まち、地域から地球へとつながる自然保育」としました。自然保育を「地域の自然やまちとのつながりを大切にし、地域資源との間に相互作用を持つ保育」と捉えた上で、そこに「地球へと」という言葉を加えました。そのことにより、これまでの大会が大切にしてきたESD(持続可能な開発のための教育)やSDGs(持続可能な開発目標)の視点から自然保育を捉えることを継続していきたいと考えています。
その地球は今どのような課題に向き合っているのでしょうか?気候変動や生物多様性の損失、環境汚染、さらにはそれらを包括するSDGsも挙げることができるでしょう。保育現場もそれらの課題の影響を受けており、自然の中で子どもと過ごしたいけれど、暑さのために外に出ることができないという声も各所で聞かれています。今大会ではそれらの地球的課題に対して自然保育がどのように向き合えば良いのか、皆さんと考えていきたいと思います。
さらに、今大会では保育実践者や自然保育の研究者、環境教育関係者、公園管理者など多様な皆さんが交流できる「自然保育情報交換会」を開催します。自身の取組みを紹介したり、他者の取組みを知ったりできる機会です。ぜひご参加ください。
お忙しい年度末近くの開催となりますが、ご容赦ください。実行委員一同、皆さんのお越しをお待ちしています。
日本自然保育学会第10回大会実行委員長 増田直広(鶴見大学短期大学部)